岩地諸石神社の大漁の記念碑

公開日 2024年06月30日

大正11年、岩地諸石神社に建立した(幅0.97m、高さ2.25m)記念碑には、長嶋順三郎が新たにブリ網を設けて大漁したこと、また大正11年3月、サバの大群が押し寄せて未曾有の漁をしたことを称揚している。

 

長嶋家(磯崎)は、岩地区の漁業に貢献した家であった。兄一郎平は明治の初め頃、君鰮の地引き網の生き字引と言われた人である。

 

碑文

 

梓弓伊豆国賀茂郡岩科村字岩地区は烏帽子山の麓なる一漁村にして古よりもはら海の幸によりて家の富み村の栄えを見待りける時に盛衰あり人に栄枯あるはうつせみのさかにして免かるべうもあらず。近き世となりては漁の利も次第に薄く村もはた衰へなむするありさまとはなりにたればわれひとたたうち歎きてのみなむ日をおくりむかへける然るにひとり長嶋順三郎大人はこの道に新しきを設けんとて夜はよもすかから書はひねもす考へてそのすべを得てしかばすなはち吾と同じ心ならむ人々にも諮りていぬる明治三十三年それがしの日のよき日をトひ鰤網をなむ設けられぬこれより年毎に獲魚さはにありて村人の心もおのづからのどかになりては行きけり而もよきにはよきをとてつきことし大正十一年三月二十三日あをさ波ことこと志う集ひ来りて未曾有の漁をえてしかば家々これかために利し岩地の里これかために富み栄えぬかれここをもちて村人たちあひはからひけらくは是れひとへに長島大人が遠きおもむはかりを立ててぶり網を設けられしいさほしにしあればこの事の由をは碑にゑりて後の世に永く伝へてむとてこれか文をおのれに需めければかくなむそのあらましをは志るし待りかつは村人らの相挙りて長島大人が心をもてその心として日に日に欺の業に新らしきを加えむことを希うものなり

大正十一年十一月二十八日 修善寺現住 丘球学

 

 

    高橋清太郎     仝  惣次郎

    明治三十三年 網新調

    齋藤甚右エ門    仝  惣 吉

  賛 仝 元治郎     仝  音次郎

仝 春 吉     仝  豊 吉

仝 政 蔵     高橋 佐エ門

  助 仝 熊 蔵     仝  三郎右エ門

仝 権之助     長島 巳三郎

仝 粂 八     松本 関蔵

  員 仝 勝五郎     齋藤 甚兵エ

    漁協組合長     高橋 仲蔵

    区   長     仝 栄吉

    世話人       齋藤 甚蔵

    仝         高橋 房吉

    大正十一年十月 建立

            石工 山田長吉

 

参考文献

 松崎町史資料編 漁業編(平成八年三月 松崎町教育委員会発行)