民宿「万昌丸」の看板

公開日 2024年03月26日

伊豆の長八美術館を建てるために、全国からたくさんの名人上手の職人さんが松崎町に集まってくれました。そんな職人さんたちが、松崎町に残したいくつかのものがあり、美術館の建築もその一つですが、より大きなものもあります。

入江長八の菩提寺である浄感寺の裏手に、今は廃業しましたが、「万昌丸」という民宿があります。この民宿は、美術館建設のために寄り集まった名人上手たちの宿舎で、玄関の前庭に小さな看板があります。大きな石の上に木を立て、その木に「万昌丸」と書きこんだ銘板が組みこまれています。何ということはない、素朴なつくりの民芸風なシロモノだが、これがなかなかの強者なのです。大きな石も木も何もかも、左官の名人たちが鏝1本でつくりあげた擬石、擬木なのです。大理石みたいに見えるのも、全部左官の仕事です。 

万昌丸の看板の裏には、これをつくった名人上手たちの名前が彫りこまれています。美術館建築参加の記念もありますが、それより何よりも、この小さな仕事には、職人たちの松崎町の人々への感謝の気持ちが込められています。だから職人たちは、美術館での仕事を終えてそれぞれの故郷へ帰る直前に、一生懸命に作って残したのです。また、それほどに地元・松崎町の人々も、彼らの町の美術館を建てるのに馳せ参じてくれた職人たちを大事に迎えてきたのです。

 

 

民宿「万昌丸」の看板の台座の裏。ここに泊まった名人上手たちが記念に自分の名を残していきました。

 

 

 

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