ナシミエントの塔

公開日 2024年03月25日

 

 民芸館の屋上庭園の一角に、稲田石(白花崗岩)による彫刻作品「ナシミエントの塔」があります。

 ナシミエントとはスペイン語で「生誕」を意味します。

 この塔はタブノキの芽が鱗に包まれたようなつぼみの中から芽が出て、さらに次の芽が生まれてくる生命力を現し、「花とロマンの里」松崎町が未来へ向かって限りなく発展していく姿を表現したものです。

 製作者は、1953年福岡市生まれの外尾悦郎氏。外尾氏は京都市立芸術大学彫刻科卒業後、1年間非常勤講師として中学、高校などで絵画を教えていたが、「石を彫りたい」という希望を胸に、1978年5月に渡欧。欧州旅行の途中立ち寄ったスペインのバルセロナ市で、天才建築家アントニオ・ガウディの未完の代表作と言われるサグラダファミリア教会の建築現場に魅せられ、同協会の門を叩いて、約1ヶ月通い詰めた末、その実力が認められ、サグラダファミリア教会の彫刻家として参画し、活躍しています。昭和61年4月~8月にかけて一時帰国し、この塔を製作しました。

 外尾氏は「タブノキを観察していると、最初にツボミが出て、そこからガクが膨らみ、その中から葉が出ていく。一つの葉を出すために、他のものは全て犠牲になり、そこから素晴らしいエネルギーが生まれている。人間にも、祖父・父・子という順序があり、過去を無視しては自分の存在もありえない。なのに、現代人には、自分は一人で生きていけるというような誤解があるように思う・・・」と語る。

 

 

石山修武氏と外尾悦郎氏との出会い

伊豆の長八美術館を設計した建築家石山修武氏がスペインを旅行中、バルセロナで外尾氏と出会う。(その場は居酒屋で飲み交わした程度で別れた)

外尾氏が何年かぶりで帰国し、外尾氏の意向で石山氏との対談が企画される。(この対談を通じて石山・外尾両氏による松崎での「小さな塔づくり」が芽生える。

その後、石山・外尾両氏が松崎を訪問し、依田町長との懇談の中で企画が現実のものとなった。

 

タブノキ

クスノキ科の常緑広葉高木で、神社の境内などに古木が多く見られる。

太い枝張りは横に伸びてたくましく、枝葉を広く茂らせ、葉は厚く光沢があり、照葉樹の代表種らしい形態を備える。

昔から人々との関わりが深く、万葉集にも都万麻(つまま)の古名で詠まれ、材は装飾器材に、樹皮は染色や手すき和紙のネリに、葉は線香の糊料などに用いられた。

 

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