堤 達男

公開日 2019年01月23日

日展無鑑査、生涯西伊豆で制作続けた彫刻家

 大正7年(1918年)10月18日、賀茂郡仁科村(現西伊豆町仁科)に生まれた。

少年時代から美術が好きで、彫刻家を志していた。県立豆陽中学(現下田高校)を経て、昭和11年(1936年)東京美術学校(現東京芸術大学)彫刻科に入学。在学中に文展に2回入選した。

昭和16年(1941年)に同校を卒業したが、戦時中だったので制作活動に没頭できなかった。18年3月応召、終戦後の21年5月に復員帰国した。

以後、郷里の仁科で彫刻に取り組む。22年10月、第3回日展に出品した作品「自由の樹を植えるために」が初めて特選となり、新進彫刻家として認められた。以来、日展無鑑査となる。

制作のかたわら、乞われて県立松崎高校の美術講師となり、熱心に地域の後進を指導した。

達男は、彫刻は本来屋外にあるべきものと主張し、大自然と調和した魂の表現を追求した。作品は人物像が主体で、雄大さ、力強さが特色であった。

昭和37年(1962年)、伊豆スカイラインの亀石峠に建てた「草原を駆ける男」は、彼の代表作の一つと目されている。その他の代表作には、静岡市清水にある梅蔭寺の「清水次郎長像」、静岡市駿府公園の「やすらぎの塔」「徳川家康公像」、茨城県土浦市の「予科練の碑」、鎌倉市建長寺の「曙観音大理石像」などがある。

昭和38年、彼の弟子たちを中心に県東部の彫刻家集団「鳩巣会」が結成され、達男は初代会長に推された。

40年日展審査員を務め、昭和42年には静岡県文化奨励賞を受賞。

彼は、生涯西伊豆で制作活動を続け、後輩を導き、地域の文化振興に貢献した。

昭和63年(1988年)、享年70歳で没。

 

松崎町に残る作品

  • 聞声(富士見彫刻ライン)
  • 入江長八胸像(浄感寺)
  • 依田佐二平像(道の駅花の三聖苑伊豆松崎)
  • 三聖のレリーフ(道の駅花の三聖苑伊豆松崎)
  • 壁画彫刻(松崎中学校)

聞声(富士見彫刻ライン)

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