公開日 2019年01月17日
桜葉漬けの歴史
桜餅は江戸時代、江戸・長命寺の寺男が隅田川堤の桜の落ち葉を塩漬けにして餅を包んで売ったのが始まりと言われています。
伊豆半島では、明治末期、南伊豆の子浦地区で桜葉漬けが始まり、昭和34~35年頃より自生のオオシマザクラを使った薪炭生産が盛んな松崎に中心が移りました。
戦後の燃料革命により炭が石油に変わると、自生の桜葉の収穫が困難となったため、昭和37~38年頃から、松崎町でオオシマザクラの畑地栽培が始まりました。
平成13年時点で、200戸ほどの農家がオオシマザクラを栽培し、松崎町は全国シェアの約7割の生産量を誇り、桜葉生産が日本一となっています。
平成13年には、環境省のかおり風景100選に「松崎町の桜葉の塩漬け」が選ばれています。
桜葉は桜餅のほか、カステラやクッキー、アイスクリームの菓子類、そばやワインにも使用され、地元の特産品として観光客に親しまれています。「桜餅」の呼称が一般的ですが、当町では「桜葉餅」と呼んでいます。
桜葉餅 |
桜葉の採取
毎年1月下旬~2月上旬にかけ、昨年伸びた枝を根本より20cm程残し全て剪定します。そこから伸びた枝の葉を5月上旬~8月下旬まで、手で1枚1枚丁寧に摘み取ります。
桜葉は、主に桜餅など和菓子に使われるため、少しでも傷がつくと価値がなくなることから、取り扱いには十分な注意が必要です。
安全で良質な桜葉生産のため、雑草の生育を敷きわらで抑制したり、虫害を防ぐためのフェロモントラップ等を活用した管理方法が導入されています。
桜葉畑(2月) | 桜葉畑(5月) | 桜葉の摘み取り |
まるけ
採取された葉は大きさを選別し、50枚を1束としてカヤの紐でくくり結びます。この作業を「まるけ」と呼び、桜葉作業以外には使われることのない独特の言葉になっています。
まるけ | まるけ |
葉の漬込み
5月上旬より採取した葉は毎日集荷され、その日のうちに漬け込みされます。以前に行われていた大樽の漬込みでは、三十石樽(高さ2m×間口2m)の大きな樽の中に2,3人が入り、底から葉を外側に向け、1束ずつ同心円状に並べ塩を撒き、この作業を繰り返し、1樽で約4万束(200万枚)が漬け込まれました。最後に樽がいっぱいになると1トンの重石をのせ、約5カ月から6カ月間塩漬けされると、べっこう色に漬けあがり、特有の香りが漂う桜葉漬けが完成します。
漬込み | 漬込み |
オオシマザクラ
伊豆半島に自生し、桜の葉が少し先に出て花が咲きます。花の色は真っ白で一重であるこの桜は山桜の一種で、葉形が良く若葉は唯の緑色です。桜葉特有の芳香成分であるクマリンの含有量が他の桜より多く含まれ、また葉の裏面にうぶ毛が全くないのが特徴です。
オオシマザクラの花 | ソメイヨシノの花 |
松崎町に自生する桜(山肌に白く見えるのがオオシマザクラです。) |