第21回長八まつり

総評

漆喰鏝絵は、絵画なのか、それとも彫刻なのか・・・。この基本的な問題について改めて考える機会になっていることが、本コンクール開催の意義の一つだと思います。そのことは、作品を制作し出品する人にとって、そして、それを審査する側にとって、さらに、出品を鑑賞する多くの人々にとって、実に刺激的で魅力的であると同時に、極めて困難な問題でもあります。絵画と彫刻という二代芸術を一つの作品として表現するわけですから、そう簡単なことであるはずがありません。かつて、先史時代や古代には、一体のものであった絵画と彫刻が、二つに分かれて別々の存在になったのは、それなりの切実な事情があったはずです。しかし、別れた相手を求めて何とか元のように一つになろうと試み続けているのが鏝絵の世界だと言えるかもしれません。どこか、男と女の関係みたいですが、ギリシャの哲学者プラトンも、近代の心理学者ユングも、男性的なるものと女性的なるものの相克と統合について最大限に注目しています。強いて言えば、彫刻が男性的で、絵画は女性的だということになるのでしょうか・・・。

富山大学教授　丹羽　洋介

審査員

• 富山大学教授：丹羽　洋介
• 美術評論家：安達　めぐみ
• 「左官教室」編集長：小林　澄夫
• 彫刻家：平馬　学
• 漆喰鏝絵職人（現代の名工）：山本　堪一