旧依田邸

公開日 2020年09月18日

 

旧依田邸 蔵3棟

旧依田邸は、江戸時代中期元禄期、今から300年前に建てられた母屋と、200年前に建てられた離れ、幕末に建てられた蔵3棟の併せて5棟が、国の登録文化財から、平成22年に静岡県の文化財に指定されました。

民家では伊豆地域で2番目に古い建物です。松崎を含む西伊豆一帯は冬に強い西風が吹きます。当地特有の建築様式である「なまこ壁」は、火災になった場合、西風による延焼を防いでくれます。なまこ壁の住宅では最古のものです。

当時の建物を改修し、昭和36年からホテルとして営業を続けておりましたが、残念ながら、依田家として、住宅を残し守ることは不可能になりました。

このため、平成27年にNPO法人伊豆学研究会とNPO法人くらしまち継承機構において土地・建物の財産を取得し、その後、平成29年3月に松崎町が取得しました。

町では、現在、旧依田家の文化的価値を残しながら、観光・文化・地域活性化に資するための整備に取り組んでいます。

 

依田家の歴史

依田家は武田晴信(信玄)の家来だったと言われており、戦国時代の終わりに甲州から移ってきて当地に根を下ろしました。依田家は400年間、この地で名主として地域を支え、代々家を守り続けてきました。

依田家は、江戸時代には山を活用した木炭生産と廻船で地域を支え、明治になってから、第11代当主の依田佐二平は製紙業を中心に殖産興業を行い、国会議員となって地域に尽くしました。その弟の依田勉三は北海道十勝開拓の先駆者であり、札幌にある北海道開拓神社に祀られています。

 

所在

賀茂郡松崎町大沢153

 

開邸日

令和2年7月1日から、毎日開邸しています。

文化財部分の施設の開閉等の管理は、NPO法人伊豆学研究会が行っています。

電話:0558-76-0030(まちすけ) 9時~17時、土・日、祝日休業)へお問い合わせください。

旧依田邸(NPO法人伊豆学研究会)

 

開邸時間

午前10時~午後4時(4~9月)

午前10時~午後3時(10~3月)

 

入館料

無料

 

駐車場

玄関入口付近に普通車6台分の駐車スペース(無料)があります。

手前の大沢温泉依田之庄にも普通車25台分の無料駐車場があります。

マイクロバスや中型バスの場合は、大沢温泉依田之庄の駐車場に駐車して、お越しください。

大型バスは駐車できませんので、近くの道の駅花の三聖苑に駐車してください。道の駅から川沿いを歩いて6分ほどで旧依田邸に着きます。

 

建物の特徴

平成22年12月3日付けの静岡県教育委員会告示第42号により、依田家住宅の建造物群は、静岡県指定有形文化財(建造物)に指定されました。対象となったのは、主屋1棟、離れ1棟、道具蔵1棟、米蔵1棟、味噌蔵1棟の計5棟です。

主屋は元禄の頃13年かけて建築したと言われ、建築面積91坪(300㎡)の寄棟、本瓦で、土間は伊豆石の石敷で1尺8寸(約55cm)の巨大なケヤキの大黒柱を持つ。外観は、松崎や賀茂地区で多く見られるなまこ壁の民家であるが、軒の垂木にいたるまで漆喰で塗り籠め、さらに南北と西側面の軒先に銅板張りの防火戸を建てた、完全な火防建築である。この建物は富裕な名主層の住居として使われた大規模な民家建築である。座敷に床の間と棚を備え、イチイ(一位、櫟)の床柱と落し掛けを合わせており、杉の磨き丸太の長押を廻し、数寄屋造の趣をそなえる。座敷と中の間の柱や内法材、さらに天井廻り縁、竿縁などにはツガが用いられ、いわゆる「栂普請」とする。両部屋には黒と赤の漆を拭き込んだ「拭き漆仕上げ」としている。ちなみに、主屋の玄関は明治23年に依田佐二平が衆議院議員になった時つけたものだといわれている。

離れは、35.35坪(約117㎡)で、一部ずし小屋裏を利用した「ずし2階」の寄せ棟、桟瓦葺き平屋建である。文化・文政のころ(約200年前)建築されたといわれる。ヒノキの長押を廻している。

蔵3棟はすべて2階建ての壁面はなまこ壁となっていて、つながった構造をしているが、初めに米蔵を建築し、のち味噌蔵、道具蔵の順で建造したようだ。真ん中にある米蔵のなまこ壁が、味噌、道具両蔵の片側に露出している。道具蔵は西妻下に伊豆の長八(入江長八)作と伝えられる家紋(橘)の漆喰鏝絵で飾っている。長八は弘化2年(1845年)に郷里浄感寺改築に加わるため松崎に来ているので、この頃に施した可能性がある。すなわち道具蔵の年代はその頃ということになる。

米蔵は、主屋と同時期に建築されたと伝えられる。中央にあるクリの大黒柱はヨキやチョウナで仕上げられ、羽目板や大黒柱に「天保」と文字が記されていることから、宿泊施設として「天保蔵」と名前をつけて活用してきた。味噌蔵もヨキやチョウナ仕上げをしていて、米蔵と道具蔵の中間時期に建てられたものと考えられている。

道具蔵西妻下にある入江長八作と伝えられる家紋(橘)の漆喰鏝絵

家紋(道具蔵)

 

文化財指定状況

〇国登録有形文化財

種別 名称 指定年月日 参考
建造物 依田家住宅表門 平成11年10月28日

木造平屋建、瓦葺、建築面積24㎡

建造物 依田家住宅中門 平成11年10月28日

木造、瓦葺、長さ2.5㎡、板塀14.5m附属

建造物 依田家住宅塀 平成11年10月28日

木造、瓦葺、延長22.5m

建造物 依田家住宅カマヤ 平成11年10月28日

土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積33㎡

 

〇県指定文化財

種別 名称 指定年月日 参考
建造物 依田家住宅主屋 平成22年12月3日

木造平屋建、瓦葺、建築面積479㎡

建造物 依田家住宅離れ 平成22年12月3日

木造平屋建、瓦葺、建築面積138㎡

建造物 依田家住宅道具蔵 平成22年12月3日

土蔵造二階建、瓦葺、建築面積48㎡

建造物 依田家住宅米蔵 平成22年12月3日

土蔵造二階建、瓦葺、建築面積52㎡

建造物 依田家住宅味噌蔵 平成22年12月3日

土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積42㎡

 

主屋 北面

主屋 軒廻り

主屋 内部
母家 母家の軒 母屋の内部

 

表門 中門 カマヤ(外観) なまこ壁の箇所
表門 中門 カマヤ(外観)

 

資料の展示 資料の展示 主屋のなまこ壁
資料展示1 資料展示2 母家なまこ壁

 

道具蔵(内部) 米蔵(内部) 味噌蔵(内部)
道具蔵内部 米蔵(内部) 味噌蔵(内部)

 

お問い合わせ

松崎町役場 企画観光課
住所:〒410-3696 静岡県賀茂郡松崎町宮内301-1 本庁2F
TEL:0558-42-3964
FAX:0558-42-3183